LINE Blockchain Designed for Everyone–はじめてのMeetupをレポートします!

※こちらのレポートは2021年1月12日現在の情報です。

 

 

LINE Blockchainとはなんなのか、数あるブロックチェーンプラットフォームの中でなぜLINE Blockchainを使う必要があるのか。LINE Blockchainは何を目指しているのか。

 

2020年12月、昨年8月にリリースしたLINE Blockchain Developers を多くの方に知ってもらうべく、はじめてのオンラインMeetupを開催いたしました。このnoteでは、当日の概要と資料をレポートします

 

セッション紹介

 

オープニング- LINE Blockchainの概要
登壇者
LINE Corporation Blockchain Engineeringチーム マネージャー 那須 利将

 

開発デモ - LINE Blockchain Developersを使用した簡単でスピーディーなBlockchain dApp開発
登壇者
LINE+ Blockchain Dev 1 Blockchain Developer 坂井 隆一

 

導入事例 1 LinkSign - Dream the next generation of the contract via Blockchain
登壇者
Comake CEO Harrison Hyunmin Cho

 

導入事例 2 aFan - Scaling Ethereum dApp to LINE blockchain
登壇者
Common Computer Blockchain Developer & Software Engineer Youngseo Lia Yoo

 

LINE Blockchainが描く未来
登壇者
LINE Corporation Blockchain Engineeringチーム マネージャー 那須 利将

 

最後にQ&Aセッションを実施し、全2時間のMeetupを行いました。

オープニング-LINE Blockchainの概要


オープニングではLINE Blockchainの概要についてLINEのBlockchain Engineeringチーム マネージャー 那須利将がお話ししました。

 

資料はこちら

- LINE Blockchain Designed for Everyone

 

あなたの毎日につながるブロックチェーン

 

LINE Blockchainのトップページにも掲げていますが、私たちはLINE Blockchainを通して少し難解なブロックチェーン技術を日常生活に取り入れることを目指しています。そして、一つ一つではありますが、トークンエコノミーの実現のため、ここ3年間で様々なブロックチェーンサービスやプロダクトをリリースしてきました。

LINE Blockchainのあゆみ

 -2018.4 

LINE Blockchain Lab設立 

-2018.7 

グローバルの暗号資産取引所 BITBOX(現在のBITFRONT)オープン 

-2018.10

 BITBOXにLINEの暗号資産LINK上場 

-2019.9 

日本の暗号資産販売所BITMAXオープン 

-2020.8 

BITMAXにLINK上場 

BITMAX Wallet・LINE Blockchain Developersリリース

それぞれのサービスやプロダクトについても簡単にご紹介します。

LINK
LINEが独自に発行する暗号資産
ユーザーはサービス内で貢献行為をすることで、インセンティブとしてLINKを受け取ることができ、サービスの成長によりトークンエコノミーが拡大し、LINKの需要が増えることを期待しています。
また、ユーザーがインセンティブとして獲得したLINKは様々な用途で使用できるよう、現在ファミリーサービスやパートナー企業と準備を進めています。
BITMAXを通じて法定通貨と交換することも可能です。

LINE Blockchain Developers
LINE Blockchainの開発ツール
APIやWeb UIでトークンを発行でき、ブロックチェーンについて詳しくない人でも簡単にブロックチェーンとサービスを連携することができます。

LINK Rewards Program
LINKを広げるための仕組み
ポイントサービスのように暗号資産LINKをユーザーに還元する仕組みです。
弊社としても価値の変動する暗号資産を付与することは挑戦的な取り組みであり、ユーザーへの還元の選択肢の一つになることを目指しています。

BITMAX Wallet
デジタルアセットやトークンを管理するブロックチェーンウォレット
LINKを受け取るためや、8600万人のLINEユーザーがブロックチェーンサービスに触れる入り口になります。
LINEアカウントと紐づいているため、ブロックチェーンウォレットを管理する上で起こりうる秘密鍵を忘れてアクセスできなくなることなどを防ぐことができます。デジタルアセットをLINEの友だちに送ることも可能です。

LINE Blockchain Explorer
LINE Blockchain上のトランザクションが参照できるエクスプローラ
ブロックチェーンの特徴である取引の透明化を担うプロダクトで、ユーザーのトランザクションを確認することができます。

開発デモ- LINE Blockchain Developersを使用した簡単でスピーディーなBlockchain dApp開発


続いて、LINEの韓国法人LINE+でブロックチェーンの開発をしている坂井 隆一が、LINE Blockchain Developersを使ったdApp開発のデモを行いました。

 

資料はこちら

- LINE Blockchain Developersとは何か?
 

LINE Blockchain Developersが提供しているもの

REST APIs
LINE Blockchain Developersを使用してdAppを開発する際、直接ブロックチェーンにアクセスするのではなく、一般的なWeb AppのようにREST AIPを通じてブロックチェーンの機能を使用します。これにより、ブロックチェーンに関する詳しい知識がなくてもdAppを開発することができるようになっています。

Console(Web UI)
LINE Blockchain Developersを使ってdAppを開発する際に使用するチェーン設定を簡単にするWeb UIです。

Docs
LINE Blockchain Developersを使用するにあたり、チュートリアルやAPIリファレンス、サンプルコードなどを準備しています。

LINE Blockchain Developersではこれらを使用することで、ブロックチェーンへの詳しい知識がなくてもトークンを発行することができます。

 

LINE Blockchain Developersで発行することができるトークン

サービストークン
各サービスの中のお金として使用することができるトークン

アイテムトークン
お金ではないものやアイテムをトークンとして扱うことができるトークン
代替可能なFungible Item tokenと一つ一つがユニークで代替不可能なNon-Fungible Item tokenがあります。

補足
LINE Blockchainでは規模や段階に応じて4つのプランを用意しています。今回デモで使用したCashew chainでは、無料で開発テストができるのでぜひ挑戦してみてください!

 

- デモで使用するdAppのご紹介

 

LINE Blockchain Coffee
バーチャルなオンラインコーヒーショップ
LINE Blockchainのテストネットである「Cashew chain」上で動くように作られています。サービスの中で通貨として使用するサービストークンLBCCと、コーヒーを買った時にもらえるおまけのNon-FungibleアイテムトークンのLBCRの2つのトークンを作成しています。

LINE Blockchain Coffeeのコードは開発者であるLINE Tech PlusのAlan GooのGithubにて公開しています。

- 開発の手順と実演


Step1 ブロックチェーンサービスのためのLINEログインチャネルを作る

LINE Developers

 

 

Step2 LINE Blockchain Developersのコンソールを通じてdAppの設定をする 

LINE Blockchain Platform

 

 

Step3 dApp本体の開発

今回はすでにdAppの開発が済んでいるものとして、dAppを実際に動かす部分のご紹介をしました。

デモで使用したAPIのURL
– API endpoint
https://test-api.blockchain.line.me
- Buy americano coffee
Transfer 200 LBCC from the user wallet to the dApp wallet
o /v1/users/{userId}/service-tokens/{contractId}/request-transfer
o https://docs-blockchain.line.biz/api-guide/category-users?id=issue-a-session-token-for-service-token-transfer
- Mint 1 LBCR to the user wallet
o /v1/item-tokens/{contractId}/non-fungibles/{tokenType}/mint
o https://docs-blockchain.line.biz/api-guide/category-item-tokens?id=mint-a-non-fungible

以上の手順でdAppの開発デモを行いました。

 

補足
LINE Developers dayで行った開発デモの動画も公開されておりますので、ぜひ参考にしてみてください。また、今後実際に一緒に開発を進めていただくハンズオンのイベントも予定しております。

 

 

導入事例


LINE Blockchainを実際に導入いただいた企業にご登壇いただき、サービスの概要や導入時のエピソード、LINE Blockchainを採用した理由などについてお話いただきました。

-LinkSign / Dream the next generation of the contract via Blockchain


1つ目の導入事例のセッションでは、ComakeのCEOであるHarrison Hyunmin Choさんにご登壇いただきました。

 

Comakeでは、LINE Blockchainを基盤としたクラウド電子契約サービスである「LinkSign」を提供しています。

 

-- LinkSignとは?
 

LinkSignとは、AI・機械学習・ブロックチェーンの技術を使い、契約のプロセスの作成・レビュー・電子署名・契約締結の4つのプロセスをまとめてできるサービスです。契約のプロセスの作成・レビューはAIが、電子署名・契約締結をブロックチェーンが担います。

 

契約につきまとう難しい専門用語や、プロセス内での記録、署名の信憑性などの課題を解決するために誕生しました。

-- なぜLINE Blockchainなのか?


LINEのサービスの中で拡張できるから

 

今後LinkSignは、契約プラットフォームを支払いまで拡張していく予定があります。そこにLINE Payを使うことで、契約の締結後、スムーズに支払いを進めることができます。このように単に技術の高さだけではなく、LINEアカウントと紐づいた機能の拡張が可能であるという点から、LINE Blockchainを使用しています。

 

現在LinkSignは、グローバルな法律事務所の弁護士プールを抱えており、もしクライアントが新しいフォーマットが必要になった時や、既存のフォーマットのレビューを弁護士にお願いしたい時は、LinkSignを通してそれらの弁護士プールにつなぐことも可能です。

-aFan / Scaling Ethereum dApp to LINE blockchain


2つ目の導入事例のセッションでは、Common ComputerのBlockchain Developer & Software EngineerであるYoungseo Lia Yooさんにご登壇いただきました。

 

Common Computerでは、LINE Blockchainを基盤としたSNSサービス「aFan」を提供しています。

-- aFanとは?


aFanは、ブロックチェーンをベースに、クリエイターとファンを繋ぐ新しいソーシャルメディアです。

ユーザーは、写真家、イラストレーターなどのクリエイターに直接「FANCO(ファンコ)」というサービストークンを贈ることができ、クリエイターのコンテンツ制作や活動をサポートすることができます。クリエイターはリアルタイムでファンを確認したり、FANCOをおかえしすることもできるため、従来のソーシャルメディアより密に、ファンとコミュニケーションをとることができます。

-- なぜLINE Blockchainなのか?


aFanが開発を始めた2年前は誰もが簡単に使うことができるブロックチェーンプロジェクトは少なく、当たり前のようにEthereumを使用していました。しかし、Ethereumの仕組みを理解しているユーザーは少なく、ウォレットのアドレスが基盤となるシステムや、トランザクションの遅さに不満を持つようになりました。

 

LINE Blockchainを使用することで、LINEという多くのユーザーにとって馴染みやすくいプラットフォームの中で使用することができたり、トランザクションの早さも格段に早く改善することができました。

 

さらにBITMAX Walletでは、BITMAX Walletに登録する前のユーザーにもトークンを送ることができるため、面倒なウォレットの生成も必要もありません。またLINEアカウントをベースにしていることから秘密鍵の管理といった、難しい操作も不要です。

以上のように、ブロックチェーンサービスの難しさをユーザーに感じさせることなくサービスを使うことができることがLINE BlockchainでdAppを開発する一番のメリットです。

 

現在aFanでは、クリエーターがファンのために作成して送ることができるNFT、ファンカードを開発しており、クリエイターとファンがより良いコミュニケーションが取れる場として成長できるように準備中です。

LINE Blockchainが描く未来


最後のセッションでは、オープニングに引き続き那須が、LINE Blockchainのこれからについてお話ししました。

 

資料はこちら

–今後の大きな機能追加 2021年

 

カスタムスマートコントラクト機能
スマートコントラクト用のバーチャルマシーン
Fungible Item token、Non-Fungible Item token、Composable Tokenなどの機能と連動したビジネスロジックを開発したい開発者のニーズに答えるための機能
サービスの提供者に自らビジネスロジックを開発していただき、それを我々が準備するバーチャルマシーンにdeployして実行できるようにする予定です。

プライバシー向上のためのHDウォレット・Mixingなどの技術研究
ブロックチェーン全体の課題であるプライバシーの課題を解決するための研究
HDウォレットという、自分のアドレスを難読化させる技術と、Mixingという、トランザクションとアドレスの関係を難読化させる技術の研究を進めています。

BITMAX Walletのグローバルリリース
コンセンサスアルゴリズムの改善

 

これらはみなさまのメインネットの開発において直接影響を与えるものではありませんが、LINE Blockchain DevelopersおよびBITMAX Walletがより一層使いやすくなるように準備していきたいと思います。

 

さらにVRFやInteroperability・Relayer・CBDCなどの状況についてもお話ししました。

LINE Blockchain Developers Meetupは、みなさんの開発を助ける場、情報交換ができる場として、ブロックチェーン開発者にとってよいコミュニティーを一緒に作り上げていければと思っています。初めての開催となりましたが、2回目3回目とつづけていき、今回紹介できなかったサービスについてもどんどん紹介していきたいですし、それらのサービスの成果なども共有していきたいと思います。

 

-さいごに

 

①LINEのユーザーベースを基盤にサービスを開発してエンドユーザーに提供できること

 

②使いやすさは開発者とユーザーの両者に必要で、私たちはそれを目指して達成し続けていくことであること

 

③LINK Rewards Programがみなさんに開発していただいたサービスをより活性化する手段として使えること

私たちが目指すところは「LINE Blockchain Designed for Everyone」であり、少し難解なブロックチェーン技術を普段の生活に取り入れることです。今後はブロックチェーンが表に出ず、サービスやプロダクトが表に出るようなものが出てくると良いと思っております。そして、2020年はブロックチェーンサービスを提供するための土壌が作れたと思っています。

 

開発者のみなさんにはLINE Blockchain Developersをどんどん使ってもらって、面白いものを作っていただければと思っています。

おわりに


今回のMeetupでは200名と多くの方にご参加いただき、私たちにとってもとても実りある2時間となりました。不慣れな部分も多かったかと思いますが、ご視聴いただいたみなさま、ありがとうございました。今後も2回目、3回目とMeetupを開催していく予定なので、ぜひご期待ください。

 

情報はTwitterやFacebookなどで配信しています
フォローやいいね、お待ちしております。